2001.02の「ヤマザキ3行日記」

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#2001.02/24    「コンセント」

 田口ランディ『コンセント』(幻冬舎)を遅ればせながら読んだ。
 これについては、最近更新されていない読書録にでも書くことにするが、「コンセント」のメタフォリカルな意味が性交と結びつき、世界との共振へと拡張していくという隠喩的な発想の転移をプロットの基本軸とする小説である。こういうのは、ある意味で"正統"的な小説の書き方なのだろう。三島の『金閣寺』もそういう小説だが(直喩的だと言った方がよい)、当時の合評で、これから小説を書く人の教科書的作品だと評されていた。
 著者は、「インターネット界の女王」だそうだが、この小説は、インターネット時代を補完する, 「私」の"癒し"をテーマとした小説だといえるだろう。
 ちなみに、以前、この日記で現代のリアリティが「臭い」にあると書いた(2000.7/13)けれども、最初の挿話において問題になるのは、兄の死体の臭いなのだ。しかし、その後、あるIT特集番組をみていたら、臭いもカラー同様の合成で送信する技術の研究もあることを知った。


#2001.02/19    日ごとに春が

 一日の過ぎるのがやたらと早い今日この頃である。
 近頃、USJの話題がニュースで出るようになった。私にはあまり興味がないのだが、考えてみるとディズニーランドが私の住んでいた隣の市にできたのは、私の中学のときであった。今また大阪にUSJができる。なんでもチケットは売れているようだけれども、私の関心はそれによる経済効果がどれくらいあるかということの方だ。なにせ、大阪府は倒産寸前なのだから。それでも、まだまだ冬が続くのだろう。

 1月はだいぶ寒かったが、いつの間にやら暖かくなりはじめているようだ。今週は10度をこえるとの予報が出ている。春よこい、でもまだ来るなー。


#2001.02/08    

 モリオカ(2001/2/08)が言うように、昨年の"三島祭"に出された特集の類で一番おもしろい特集は『ユリイカ』(2000.11)の特集だった。
 スガ論文のオチは、しばらく前から彼言うところの、三島が捉えきれなかった六〇年代終りの転回が、「「在日」等の「エイリアン」運動の中で問題化した」、「新たな疎外論エイリアネイションの提起にほかならない」という点にある。
 三島のこうした疎外論との接点は、『美しい星』で宇宙人エイリアンを持ち出したところにあるだろう。「文化防衛論」で金嬉老事件をとりあげて水平軸の「エイリアン」問題を見据えていた三島ではあったが、垂直軸に出現するエイリアンを想定するにとどまったという点に、三島のクリティカル・ポイントがあったということにもなるか。
 「私」という問いを追いかけると、イノセンス(芹沢良介)に辿りつくのではないのか。ただし、それがロマンチックな「私」であるはずもなく、三島のいう「告白と批評の中間形態」(「太陽と鉄」)を導くところの折り返し点としての「私」のイノセンス。その意味で、"ロマン的"ではない、端的な「反語」をみる佐藤論文(『ユリイカ』所載)もいいとこついてると思う。


y.yamazaki
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