#2002.01/31
恋の逆襲、恋愛=結婚のIT革命
カップルを呼んで話を聞く番組で、高校生の男の子が一人で出ていた。彼の彼女は、アメリカに住んでおり、メールでしかやりとりをしていない(一度も直接会ったことがない)という。それでも、今年の秋に、彼女は日本に一人で帰国して、東京で一人暮らしを始めるから、一緒に住もうという話までできているという。
彼は、彼女とメールを交わし初めてすぐ彼女の恋愛経験について質問している。彼は未経験、彼女は経験者。彼は、未来の"肉の恋"を担保しつつ、"霊の恋"におちたのであった。
番組の対話のなかで、「彼女はほんとにいるの? ホントは40代のおっさんにからかわれているんじゃないのか」と言われた彼は、番組終了後、「彼女」に、「ホントに存在しているの?」とメールを送っていた。
彼は"幽霊"に恋しているのか?
「危険な関係」(ラクロの書簡体小説)である。しかし、とりあえず、ここには、操作者としてのヴァルモン子爵・メルトイユ夫人の視点はない。
恋というのは、そもそもそういうものだったし、(手紙のみで、見ぬ相手に恋することは、平安時代には通有のことではなかったか)、実はそれほど奇異なことでもないし、むしろ、「だからこそ」恋しているのだともいえそうなのだ。
それにしても、メールが可能にした距離と場所と相手の偶有性を地盤とした恋愛の形態は、恋愛=結婚という制度に対するIT革命! をもたらしているのだろうか? 結婚が肉体の近接性を前提(同居を基本的な形態とする)しているのだとしたら、恋愛が結婚に逆襲する時代が来ているのかもしれない?
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