#2002.09/30
屍体と清掃
近頃、葬儀場が増えているのかどうか、うちの近辺にも建設中のところがある。
高齢化社会の到来は、葬儀需要を拡大すること間違いなしで、はやその足音が聞こえているということなのかとの感慨も深い。
私の住む市の市営葬儀事務局が通勤路にあるのだが、そこは市のゴミ収集車の駐車場と同じ敷地内に建つプレハブである。最初見たときには、いささかぎょっとしたものだ。「死」が生活空間から遠ざけられているなどという議論がずいぶん前からあり、「死」が極度に観念化(イメージ化)するとともに、屍体の扱いが極度に即物化するという二極化の傾向が指摘されているが、そういう現実を突きつけられたような気持ちになった。
しかしながら、ペットなどの埋葬・火葬は、清掃局の管轄になる。「屍体」と「清掃」との近接。
ペットを飼う人はかなり多いと思われるが、ペットが死んだときには、どうしているのだろうか。私は、一度ハムスターを埋葬した。どことは言えぬが、桜の木の下に埋めたことがある。が、それも、ほんというとまずいところであったかもしれぬのである。考えてみると都市部では、土の露出した地面そのものがない。あったからといって、そこらに埋めるわけにもいかない。どこか遠くの目立たぬ山林にでも埋めに行くかと思っても、適当なところもすぐには思いつかない。屍体は生ものであるから、休日を待ってくれない。最近では、業者でも受け入れるところがあるようだし、自治体の清掃局でも扱うようだが、犬・猫のようなペットならそういうところにも持っていく人は多かろうが、魚やハムスターなどの比較的小さな動物の場合はどうしているものか。けっこう考えものだ。
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