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百文の一見 [1]

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日付筆者タイトルボタン
2004.10.2430代・OL(仮)「明日」に思う020004
2004.09.2030代・OL(仮)「あ」×3020003
2004.09.09街路の浅学百聞未満020002
2004.09.08KIDDER東京湾景020001


2004.10.24
「明日」に思う
30代・OL(仮)

 イタリア語で「明日」を意味する『ドマーニ』という月刊の女性誌をご存知ですか?「エルメス」や「ディオール」などのリッチなお洋服に身を包んだ川原亜矢子が表紙を飾り、裏表紙にはたいてい「ヴィトン」や「カルティエ」などの広告が載っているという、30代の働く女性向けのファッション誌です。けれども、哀しいかな、毎月何かしらのローンに追われていたり、食料品が20%引きになる時間帯をねらってスーパーに出かけたりする私には、雑誌に掲載されているようなお洋服を買うほどの余力もなければ、颯爽と着こなすテクもない…でもときどき年に1〜2度ほど、「30代・働く女性」という記号に溢れたその雑誌の誘惑にまんまとのってみようかなと思うことがあります。なんだかんだいって、やっぱり「30代・働く女性」に同一化してみたいのかしら?もしその雑誌を立ち読みしているところを会社の同僚、特に女性の同僚に見られたとしたら、ちょっと恥ずかしいって思うくせにね。というわけで、最近、定価680円のこの雑誌を読みながら思ったことを少々。

 ややこしいことを一切考えず、写真がいっぱい載っている雑誌のページをめくっているのは楽しいもんです。今度お給料が入ったら華奢なヒール靴を買ってみようかとか、今年はコサージュなどの小物に凝ってみようかなど、あれこれ思いを巡らせながらただ紙面を眺めているのはやっぱり愉快。ところが、ある号を読んでいたときのこと。一ヶ月の着こなしパターンを示した企画もののページで、この雑誌から受ける印象が以前とはちょっと異なることに気づいたのです。というのは、かつてこの雑誌に掲載されていた数々の着こなしでは「既婚」とか「未婚」とかいうファクターはそれほど重要視されていなかったように思っていたのですが、その特集ページにおいてはそれがまるでファッションの一部であるかのように演出。夫の実家に行くときのリラックススタイル、夫の両親と食事するときのきちんとスタイル、夫と行きつけの老舗和食屋に行くときのスタイル、休日に夫と家でランチビールするときのスタイル…。「既婚」ということが、スタイルのコンセプトにおいて外せないものになっていたことに軽いショックを受けてしまったわけです。もしかすると通年で定期購読していれば、実はこういうコンセプトはこの雑誌においてはけっこう頻出するもので、それほど気にするもんじゃない、ということがわかるのかもしれません。が、この雑誌って、30代の働く女性を、自己投資のための「経済力」も「時間」もあって、「良質の贅沢を求めることができる」層として想定しているフシがある。ならば「結婚」をそんなふうに扱ったら、少々嫌味じゃないかしら?もちろん、おシャレ雑誌の企画だし、やたらリアルなシチュエーションを見せてもなんだし、そもそも世の中の人間は単純に「既婚/未婚」に二分できることだし、そこはクールにリテラシー働かせるとこでしょ、と十分承知はしております。けど、バリバリ働き、なおかつ結婚している女性のなんとリッチでスタイリッシュなこと。洋服、インテリア、陶芸、観劇そして結婚。何でも「自分で選んでます」という贅沢な自信。私は既婚者ですが(いや"だからこそ"というべきか)、そのこと自体がファッションに取り込まれているキモチワルサ、違和感を拭うことができず、なんだかその雑誌に"寝返られた"ような気分になっちゃいまいした。でもこれってもしや、夫と近所の中華料理屋で夕飯をすませて帰宅して、ジャケットを脱ぎながらクリーニングまでにもう一回くらい着られるだろうかなどと考えつつ、「ふう。」と一息ついたらリビングの隅っこに取り込んだだけの状態の洗濯物の山に気づき、つい見ぬふりをしてしまう、そんな私のルサンチマンなんでしょうか?私は30代・OL"(仮)"なわけですし、まあ、別になんということはないのですが。

 なんだか今回はちょっと話が愚痴っぽかったですね。はは(笑)、失礼しました。ちなみにこの秋は「ブラウン」と「グレー」がおシャレらしいです。明日もしも天気が良かったらショッピングに行こう。うん決めた。


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2004.09.20
「あ」×3
30代・OL(仮)

 ここ数日の間で、「あ」と思うことが3度ほどたて続けにあった。

 一回目は、よく晴れた9月初旬の朝7時半、燃えるゴミを出そうとしたとき。寝起きのまんま半袖・短パンという格好で外に出たら、ちょっと冷たい秋の空気に不意打ちをくらい、思わず「あ」。残念ながら私には俳句をつくったり植物を愛でたりする細やかさはない。よって、その「あ」は季節の移り変わりに敏感に反応したことからくるものではない。それはむしろデジャヴに近い、ちょっと不思議な感覚。ゴミを所定の場所にポイッと放ったあと、歩いているうちにだんだん分かってきたのだけれど、それはつまり、ずっと忘れていた昔が突然ふっとよみがえってくる感覚だった。電車と自転車を駆使して通学していた高校時代のある朝の感じに、その日の空気が似ていることに気づいたのだ。

 二回目は社員食堂で、日替わり昼定食(450円)のメイン「キャベツいっぱいのソース焼きそば」(どうでもいいことだが、うちの社食ではさらにこれに揚げ物が必ずつく。)を食べたとき。一口、二口と食べているうちに、また昔がよみがえってきた。そのときの味付けが、お祭りの屋台で食べるのではない、まさに小学校の給食で出たような「やきそば」の匂いを徐々に思い出させたのだった。だから「あ」。

 そして最後は、空腹を我慢しながら残業していたら、同僚からピーターラビットのおしゃれなカンに入った輸入もののバタースコッチキャンディーをもらったとき。それを口に入れてすぐに、昔運動会の飴食い競走に出たときに食べた「飴」の味を思い出した。小麦粉の山の中に隠されていた少し粉っぽいバター飴。やたら具体的なシチュエーションを急に思い出したことに驚きつつ、これが3回目の「あ」。

 「懐かしい」とは、実体験があろうとなかろうといろんな場面でお手軽に使える言い回し。実際、私もよく使うし、そういう謳い文句にはめっぽう弱い。けれども、リアルな「懐かしさ」とは、ほんとうはとても些細でしかもきわめて私的な事柄における一瞬の感覚なんだろうと思った。だからそれを人にうまく伝えるのはなかなか難しい。

 30代になった去年から、なぜかこういう具合に昔をよく思い出す。「30」という年齢が何かたいそうな意味を持っているとは思わないが、こういう「懐かし」体験って悪くない。

早起きは三文の得。
9月の朝、ゴミを出そうと思って外に出たときに見た
きれいないわし雲。

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2004.09.09
百聞未満
街路の浅学

 最近、タイに行ってない。タイどころか外出もしていない。
 ここはひとつ、雑誌でも読んで、雑踏の空気を吸った気分になってみよう。
 そう思い立ち、「ワイワイタイランド」という情報誌を手に取り、ごろんと横になった。

 その瞬間、広告ページを目にした私はびっくり仰天した。
 いつのまにか「タイ古式マッサージ」が日本に上陸していたからである。
 あわててネットで検索してみた。
 全国的に展開しているようだが、東京ではすでに100軒ほどにのぼることがわかった。

 「タイ古式マッサージ」は、「ヌアッド・タイ」と言って、寺院において伝承されてきた独特の按摩である。
 体を「ぼきっ」と鳴らすことをひとつの目安にして全身を揉みほぐしてもらう。
 足の裏から目のまわりや頭まで、文字通り全身である。
 基本的には2時間1セットで全行程を終えるが、それ以上やってもらうことも可能だ。
 私は一時期これにはまり、ぐうたらな旅を楽しんだものである。
 今回、「ワイワイタイランド」とHPで調べてみたが、現地のスタイルにかなり近いところもあるようだ。
 なかには、青山あたりのビルディングで、アロマやエステとミックスしてヒーリング・スペースをデザインしている女性、あるいは、中野あたりのアパートの一室で、なにやら哲学的な呪文を掲げてひとり営業している男性なども見られた。
 それぞれ、いかにもそれらしいHPをもっていて、興味深い。
 そんな中で、私の目を釘付けにしたHPがあった。
 そこには、

 「○○○は、睾丸マッサージのホームラン王です」

という売り文句が記されていた。
 それまでふむふむとしたり顔で見物していた私は、自分の無知を思い知り、一気に落ち込んだ。
 「睾丸マッサージ」というものがどういうものか、どうしてもわからないのである。
 外出する機会が遠のくと、こうやって街から取り残されてしまうものなのだろうか。。。

 価格設定は他店と変らない。
 オプションのひとつとして「睾丸マッサージ」がある。
 オプション料金が法外な値段であれば、「あぁ」としたり顔で納得することもできようが、+2000円とは悩ましい金額である。
 しかも「ホームラン王」である。
 なお、その店のHPには、GAL'S LISTなるものがあり、ポーズをとったタイ人女性の顔写真が掲載されている。
 写真の横には自己紹介欄があり、「特技は睾丸マッサージ」と書いている人もいた。

 興味のある方はぜひ覗いて欲しい。


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2004.09.08
東京湾景
KIDDER

 きょうは外出して、表参道にある、ホテルの会議場みたいな場所を借り切って開催している外資系ソフトウェア製品会社のセミナーに出席した。

 上司が導入事例について講演をする関係で、ずっと張り付いていた。
 (いやぁ飯も出るのだが、そこはホテルオークラが運営しているところで料理がめちゃくちゃうまかった。脂肪分もたっぷりだが…)

 18:00までびっしりやった後、接待で「屋形船」に乗った。
 初体験。
 品川からお台場のあたりまで航行して停泊。
 天ぷらとか刺身とか、料理の味はまぁまぁ。
 屋形船の中は予想に反して広くてきれいだった。(でないと女の子が客にならないからだろうな)。

 社会人になったらやりたいなぁ、と漠然と考えていたことの一つが今日実現したわけだ。

 なんとなくだが、
 「旨くて(高そうな)寿司屋のカウンターで寿司を食う」
 「屋形船にのる」
 「●●を助手席に乗せてドライブに行く」
 こんなことを「社会人」の基準に置いていたように思う。
 よく考えると変なものだが。

 大きい屋形船で屋根の部分に上がって飲んだりもできるので出てみた。いい海風にあたってレインボーブリッジのふもとからお台場を眺めた。気持ちよかった。台風のあおりもあり、すごい勢いでちぎれた雲が東京の夜空を流れていた。


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